夜に自転車に乗るときは、点滅ライトだけで走っている人がいたり、100均ショップで売っている小さいライトだけの人がいたり・・・
ライトなら、何でもいいの?
警察に注意されるのもいやだし、法律はどうなっているんだろう?
こういった疑問に答えます。
○本記事の内容
- 自転車のライトの法律【ポイント】
- 違反して警察につかまったら、どうなるのか(わたしの経験談)
こんにちは、清兵衛(せいべえ)です。
弁護士ではありませんが、法律に携わる仕事を5年以上経験し、東京と京都で自転車通勤を20年以上続けているわたしに解説させてください。
統計によると、自転車の夜間の死亡事故では、車の追突が6割を占めており、その原因は車のドライバーの「発見遅れ」が8割だそうです。
(公益財団法人交通事故総合分析センター)
自分の身を守るためには、前も後ろもライトをつけた方が良いのは、当たり前です。
でも、法律の決まりはどうなっているんでしょうか?
事故した場合に、法律を守っていたかどうかは、過失割合にも影響します。
お巡りさんに止められて、いやな思いをしないためにも、知ってて損はないです。
自転車のライトの法律【ポイント】
まず、法令の基礎知識と、自転車の位置付けについて、ポイントをご説明します。
自転車の法律の基礎知識
自転車関係の法律の基礎知識と位置付けに関しては、次のようになっています。
- 1.道路交通法(国会が決める。国会議員の多数決で決まります)
- 2.道路交通法施行令(政令といって、政府(内閣)が決めます)
- 3.道路交通法施行規則(省令といって、各省庁(各大臣)が決めます)
- 4.都道府県道路交通規則(各都道府県の各公安委員会(各公安委員長)が決めます)
厳密には、「法律」と言う場合は、1.の道路交通法だけを指しますが、2.~4.の施行令や規則なども含めて、「法令」という言い方をします。
1.の道路交通法で、自転車は「軽車両」であることが決められています。
自転車のフロント・ライト(前照灯)をつけなければならない法令
東京都と京都府の場合を例にします。
法令の条文を、意味がわかるようにまとめると、次のようになります。
“白色又は淡黄色で、夜間、前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認することができる光度を有する前照灯をつけなければならない”
ポイントは、「つける」という言葉です。
「つけなければならない」と書いてありますが、「つける」という言葉は、「電気をつける」つまり、「ライトで照らす」という意味で使われてることがポイントです。
「名札を付ける」などの意味で使う「備え付ける(=装備する)」という意味ではありません。
もし、「つける」の意味が、自転車に備え付け(=装備してる)という意味であれば、夜間でも、スイッチを入れない状態でかまわないとの意味になり、法律の趣旨に合わないからです。
ですから、自転車に装備していなくても、ヘルメットにライトを装備して、前を照らしていればOKということです。
さらに、点灯か点滅か、という意味でも、「つける」という言葉には、その区別がないので、点滅でもOKです。
もちろん、前方10メートルの距離にある交通上の障害物を確認できる明るさが必要です。
でも、街中であれば街灯もあるので、点滅でも確認できることが多いですよね。
自転車のリア・ライト(尾灯)をつけなければならない法令
尾灯(リア・ライト)と反射器材(リフレクター)の2つについて、法令で決められています。
東京都の場合
まずは、東京都の場合です。
法令の条文を、意味がわかるようにまとめると、次のようになります。
【尾灯(リア・ライト)】
“赤色で、夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる光度を有する尾灯をつけなければならない。
ただし、反射器材を備え付けているときは、尾灯をつけることを要しない。“
【反射器材(リフレクター)】
“反射光の色は、橙とう色又は赤色で、夜間、後方100メートルの距離から照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できる反射器材を備えていない自転車を運転してはならない。
ただし、赤色で、夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる光度を有する尾灯をつけている場合は、この限りでない。“
わかりにくいですね。
つまり、リフレクター(反射器材)を自転車に装備しているか、または、リア・ライト(尾灯)のどちらかを付けていればOKです。
リフレクター(反射器材)の場合は、自転車に装備していなければなりません。
自分の体や、リュックに付けているのはOUTです。
リア・ライト(尾灯)の場合は、自転車に装備していなくても、リュックなどに付けていてもOKです。
京都府の場合
次に、京都府の場合です。
法令の条文を、意味がわかるようにまとめると、次のようになります。
【尾灯(リア・ライト)】
“赤色で、夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる光度を有する尾灯をつけなければならない”
【反射器材(リフレクター)】
“反射光の色は、橙とう色又は赤色で、夜間、後方100メートルの距離から照射したときに、その反射光を照射位置から容易に確認できる反射器材を備えていない自転車を運転してはならない。
ただし、赤色で、夜間、後方100メートルの距離から点灯を確認することができる光度を有する尾灯をつけている場合は、この限りでない“
これも、わかりにくいですね。
ポイントは、リア・ライト(尾灯)は必ずつけなければならないということです。
東京都とちがって、京都府は「ただし、反射器材を備え付けているときは、尾灯をつけることを要しない」の規定がないので、リフレクター(反射器材)を自転車に装備しているだけではOUTだと解釈できます。
リア・ライト(尾灯)だけの場合は、東京都と同じくOKです。
なぜ、このような違いが生まれるかといいますと、道路交通法や道路交通法施行令では、
「前照灯、車幅灯、尾灯その他の灯火をつなければならない」ことは決められているものの、具体的な決まりは各都道府県の公安委員会が定めることにされているからなんですね。
【東京都の場合】
・リアライトのみ OK
・反射材のみ OK
・両方 OK
【京都府の場合】
・リアライトのみ OK
・反射器材のみ OUT!
・両方 OK
以上をまとめると、次のようになります。
以上が、わたしの解釈です。
残念ながら、もちろん何の権限もありませんし、責任も持てません。
警察に捕まった時に、警察が「その解釈じゃないよ」と主張すれば、極論、裁判しかありません。
積極的に裁判で争うようなことでも無いと思いますので、警察の指導に従うことをお薦めします。
わたしの法律解釈は、そのような解釈もあるんだ、という程度にしてくださいね。
ちなみに、わたしが5年以上使っている、おススメのライトについて、【使った感想】キャットアイ VOLT400・rapidXと法律で解説しているので、よかったらのぞいてみて見て下さい。
違反して警察につかまったら、どうなるのか(わたしの経験談)
さて、上記の法令に違反した場合、どのようなことになるのか・・・
道路交通法上の規定は、5万円以下の罰金です。
お恥ずかしい話ですが、わたしは、無灯火ではないのですが、一時停止違反で、お巡りさんに止められてしまいました。
自転車の一時停止違反は、「3月以下の懲役又は5万円以下の罰金に処する」です。
(無灯火よりも、一時停止違反の方が罪が重いんです。なんだか逆な気がしませんか?)
取り締まりが実施されていた場所に、「飛んで火に入る○○○」状態でした。
見通しの良い生活道路の交差点だったので、安全を確認しながら徐行しつつ走ったのですが、停止しなかったので、OUTでした。
自転車には反則金制度がないので、即、いわゆる赤切符になります。
前科一犯になりうるということですね。
自転車の防犯登録などを調べられて20分程度かかりました。
その間、制服の高校生も止められていました。
一方通行の道路を進行方向に走っていたのですが、反対方向に走っている自転車は、一旦停止しなくても法律違反ではないため、「お構いなし」です。
何か納得いかないモノがありました・・・
その場で、赤切符を渡され、記載された日時に、簡易裁判所に行かねばなりません。
仕事を半日休まざるを得ません。
簡易裁判所での取調べの流れ
赤紙に指定された日時に、簡易裁判所に出頭しました。
番号札をもらって、待合室で待っていると、交通警察官室に呼ばれました。
警察の方から取調べを受けます。
・身分証明書の提示
・略式裁判の申述書への記載と押印(拇印)
ここで検察官室に赤切符と調書が渡されます。
いわゆる書類送検です。
わたしは「被疑者」になってしまいました。
次は、検察官の取調べを受けます。
違反時の状況、常習性や反省の度合いによって、起訴するかどうか判断されます。
・調書内容の確認と説明
・一時不停止を以前にもしたことがあるか?
・今後、一時不停止はしないか?
という質問を受けます。
もちろん、
「これまで一時停止違反をしたことありません。今後は、一時停止違反しません。」と答えました。
「記憶にございません。」とは答えませんでした・・・。
今回、初めて捕まったので、幸い、起訴猶予(不起訴処分)懲役・罰金なしでした。
法律違反をしてしまったことは事実なので、弁解の余地はありません。
でも、これまで自転車で一時停止違反をしたことがないかなんて、本気で訊いているともおもえません。社会の矛盾・・・。仕方ないですね。
見晴らしの良い生活道路で、車が来ていないことが明瞭にわかる交差点で、一時不停止を積極的に取締るのは、「なんだかなー」って思います。
あのとき捕まってた高校生が社会人になった時に、このときのことをどう思うのか・・・